ゴジの発言
「感想」を書いて思うこと

いやあ、予想通りなかなかキツイ作業だぜ、これは。昔、ディレクターズカンパニーの
頃にも年に4〜500本の応募脚本を読んでいたけど、今回のようにそれぞれに詳しい
感想を書くなんてことはしなかったからなあ。それと、自分が興味を持てない脚本を少々
雑に読んでも、他の8人の監督の誰か興味を持った奴がキチンと読むだろう、という気
楽さがあった。今回は読むのは自分だけだし、自分に宛てて応募してくれてるんだし・・・
我ながら阿呆みたいに丁寧にマジメにやってます。まず「あらすじ」は読まずに脚本を
一気に読む。次にメモを取りコメントを考えながら再度読む。最後にあらすじを読んで
書いた本人が自分の脚本をどう捉えているかを考える。そして「感想」を書き始めるの
だが・・・率直に書きすぎて作者を傷つけちゃイカン、萎えさせてはもっとイカン、し
かし曖昧に書きすぎて真意が伝わらなくてもイカン、第三者が読んでも多少は役に立つ
ように書かなきゃイカン・・・いやあ、「気遣いのA型」に生まれたことを呪いたい気
分になる。

私がこの公募に期待しているのは次の二点です。
まず一つ目は、もちろん「そのまま映画に出来る脚本との出会い」・・・かりに「創作
セッション」にある程度「直し」の時間がかかっても、「勃起できる脚本」さえ手にす
れば、長谷川は必ず「復活」してみせます。
二つ目は、やはり「未知の作家/人間との出会い」です。かりに今回応募した脚本が
「Step脚本」に移行しなくても、私が率直に誠意を込めて「感想」というボールを投
げ返し、それが応募者の創作意欲を刺激すれば、必ずや「次の新しいボール」が投げ返
されてくると信じたい。そのキャッチボールから「新しい作家」が生まれて映画作りの
チームが組めるようになれば、それは「完成された一本の脚本の出現」以上に価値のあ
ることに違いない。そういう意味では、今回応募してきた作者たちの誰からも、私の感
想に対するリアクションが無いのは寂しいかぎりだ。「反論」でも「次を待ってろ」で
もいい・・・何の「反応/書き込み」も無いと「やっぱり俺の書き方が悪かったのかな
あ」と暗い気分になって、自分のほうが萎えてしまいそうになる。

で、ここで再度確認なのだが・・・この脚本公募は客観的な優劣を競うコンクールでは
ない。「感想」もあくまで私個人の主観に過ぎず「審査」なんかではない。ただ基本コ
ンセプトが「長谷川和彦復活脚本公募」だから「私の主観」は「神の声」にだって優先
してしまう。しかし人の著作物を自分の主観/独断と偏見でジャッジするのは必ずしも
楽しいことではない。「神を超えた行為」はいつも苦痛をともなうのだ(笑)。
そこで提案なのだが・・・基本的に全応募脚本をクリックさえすれば誰でも読めるよう
にしたいと思う。「あらすじ」と「感想」を読んだだけでは第三者はやはりコミット出
来ないだろう。興味を持った脚本は誰でも読めるシステムにして「長谷川はああ書いて
いるが、私はそうは思わない」という意見や感想が飛び交える状況にするのだ。
もちろん応募者の了解は応募の段階で取る。中にはNOと言う人も居るだろう。予測さ
れる最大の理由は「盗作・盗用に対する危惧」だろうが、著作権法という法律だってあ
るんだし、悪いほうにばかり考えるのはエラクナイと思う。むしろプラス思考で「この
サイトを自分の作品発表の場として利用する」くらいタフになって欲しい。この「企画
脚本広場」については、5月2日 発売の「スコラ」をはじめ「朝日新聞学芸部」や
「週刊文春」からの取材依頼も入っているから、一般の認知度も現在よりは高まってい
くと思う。公開された脚本が私以外のプロの映画人の目に留まることだって十分あり得
るのだ。もちろん私はこれまで通り「神様以上の主観ジャッジ」は責任持って続けるが、
正式な契約を結ばないかぎり「著作権」はあくまで応募した作者のものだ。安心して
「公開OK」を出して欲しいと思う。(「公開NO」の作品を受け付けないわけではない・・
念のため)
「長谷川には読ませて意見も言わせたいが、不特定他者に読まれたり意見を言われるの
は恥ずかしい、照れ臭い、嫌だ」というシャイな人も居るだろうが、「表現」を目指す
者がそんなヤワなことでどうする。「表に現す」と書いて「表現」だぜ。

べあ管理人は逆の立場で「意見交換なら良いが、掲示板が誹謗・中傷・喧嘩の場になる
のがコワイ」とネットの匿名性による混乱を危惧していたが、「喧嘩上等じゃないか、
混乱を怖れてネットが張れるか。不届き者は俺が成敗してやる!」という私の強硬論を
受け入れてくれました。「全応募作品公開」が基本的な原則になれば、作業が増えて苦
労するのはべあ管理人なわけで、もともとが闖入者の長谷川も恐縮している。掲示板セッ
ションに参加する諸兄も「不届き者」にならないようにヨロシク。(でもまあ、ビシバ
シ楽しくやろう。俺、喧嘩は嫌いじゃないしな)

ともあれ、ネットでしか出来ない、ネットだからこそ出来る「出会い」と「創作」を本
気で模索したいと思っています。
それにしても応募が少ないなあ。なんだか、自分一人で大騒ぎしているみたいでツライ
ぜ。
「早くしないと、俺、死んじゃうからな」と、ゴジは拗ねて見せるのだった・・・。

P.S. 「sun46」さんへ。
> 「青春の殺人者」という原点に帰ることで、「連合赤軍」や「フリーズ」といった企
画の突き詰めるべき先や、方向性も見えてくるのではないでしょうか。
挫折した「フリーズ」まで知ってるとは・・・驚きました。
言われる意味はよく分かります。近々に「そっち方向の模索の具体」を提示して諸兄の
意見を聞きたく思っています。

P.S. 「城戸 誠」さんへ。
 ごっついハンドル名を付けたもんだなあ。「城戸 誠」をさん付けで呼ぶことになる
とは想像もしなかった。
「オフ会」どんどんやろうじゃないか。でも「掲示板・創作セッション」に参加しない
やつは呼ばねえぞ・・・いや、呼んどいて殴るか?(馬鹿め、ソレだからいつまでも映
画が撮れないんだ)

P.S. 「にいがた映画塾の星」さんへ。
「相互リンク」ありがとう。早速「にいがた映画塾コム」拝見しました。
「映画・映像を、与えられるものから、創り出すものへ・・・そのための環境づくり」
というコンセプトと、質量ともに充実した活動ぶりに圧倒されました。
まったく関係ないんだけど、そう言えば昨日「こごみ」という新潟産の山草を生まれて
初めて食べました。とても美味かった。
今後ともヨロシク。
(2000/04/25)