監督 長谷川和彦 /原作 中上健次『蛇淫』/脚本 田村孟 出演 水谷豊・原田美枝子・市原悦子 千葉県で実際に起こった親殺しの事件を題材にした作品なんですが、圧巻なのは 母(市原悦子)と子(水谷豊)の格闘シーンです。これほどまでにすさまじい殺し合い(それも親子)のシーンを邦洋 問わず 映画で観たことがありません。カットわりがすばらしく良く出来ているので狭い部屋の中での格闘シーンなのに 超ダイナミック!!そういう才能のきらめきという点からみると あのスピルバーグの傑作「激突!!」にも匹敵するものがあります。 エンドクレジットをみると「暴走族ブラックエンペラー市原支部」の名がありどうも彼らのスタントシーンもあったようなんですが映画では「スッパリ」なくなっています。映画のテンポや構成の面から「不要」と判断し 切ったのでしょうが、そういういさぎよさ、全くナイスです。 主人公の順(水谷豊)は父を殺し 母を殺し、 女(原田美枝子)を捨てます。しかしそんな順が映画を見終わったあとどうしようもなく いとおしく思えてしまいます。そう 観客に思わせるところがすごいです。 国家からの 組織からの 家族からの もろもろのしがらみから 解放され 別な新しい何者かになる。根源的で本質的なもっと野蛮人していた人間に 戻り 新しいなにかを つかむ。そういった熱い思いが この映画には 煮えたぎっています。 |
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